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「美姫、これで写真撮ってくれる?」
「写真?いいけど…」
「ジャングルジムに上るから、俺の後ろ姿と桜を綺麗に入れて」
「えっと…何かに使用される?責任重大な撮影ですか?」
「使うね」
そう言いながら藤原さんはジャングルジムの一番高いところに立つと、両手を左右に大きく伸ばした。
「気持ちいいなぁ。撮って」
「あの…私、司会をすることはあってもカメラマンになることはないので…適当ですけど…」
「大丈夫、大丈夫。いまどきのスマホカメラの実力と被写体の良さを考えてみて」
「被写体が藤原さん…冬馬さまですからね。あははっ、いきますよ~」
「お、急いで。あっちからチビッ子軍団がこっちへ向かって進行中」
「それは大変。ジャングルジムを独占するわけにはいきませんね」
「おう」
急いで何枚か撮って
「これでいいかと。あとはパソコンのプロフェッショナルの方が上手く加工してくれるんじゃないですか?」
「ははっ、俺の都合よく加工するか…っと」
2段だけ降りてからあとは飛び降りた彼にスマホを渡す。
「何に使うの?」
「会社のホームページに小さく‘社長’って顔写真が載ってるんだけど、たまに季節感あるものに変えるんだ。1週間ほどだけね」
「素敵なアイデアだ。大丈夫そうですか?」
「十分。ありがと。美姫の連絡先教えて。また誘うから」
彼は写真を確認したあと、スマホをひらひらとさせて見せた。
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