母娘3人、箱根旅→´23.05.24~25

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 私はシートベルトを外し、いったん車から降りた。  トランクに入れた荷物から、クリアファイルを出す。  1枚だけ紙を入れた封筒が、2つ。 「はい! 今日の行程!」  それを後ろの2人に渡した。 「まずは芦ノ湖行きます! んで、そこでイタリアン食べます!」 「はーい」 「じゃあ、とりあえず行くね」 「はーい」 「お願いしまーす」  車は、母娘3人を乗せて、出発した。 ↓2人に渡した栞(と呼んでいいのか)。原本の写真。f5c9106b-0a2e-4b50-ad46-c81e5d64abd7  中央道は、空いてもいないが、詰まるほどの混雑ではなかった。  西へと走らせれば、遠くに富士山が見える。  おおっと思いつつ、そうだ今からもっと近くまで行くんだった、と気付いたら少しおかしかった。  濃いめの青空に、白くて元気な雲。  いい天気だ、旅行日和。  子供の頃から、家族で出かけると言えば、車だった。    夏の旅行は、それこそ箱根。日帰りなら、江の島や鎌倉あたり。  両親ともに東京出身だから、お盆に他県に帰る習慣もない。車で行ける範囲を出ることがなかったのだ。  そして、車の中ではいつも音楽が流れていた。  目から入ってくる景色、耳から入ってくる音楽、出かけることを楽しみに思う気持ち。いつだって、私にとってこれらはセットだった。  音楽を聴けば、いつだってフロントガラスの向こうが思い浮かぶ。  だから、この旅行がスピッツの新曲と共に動き出したことは、私にとってこの上ない幸せだった。  しかも、裏切らない。どの曲も好きだ。  あまりに心にしみすぎて、何なら泣きたくなりすらある。  いかん、いかん。さすがに運転中だ。現実に戻ってこい。
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