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小田原厚木道路は、一転して車が少なかった。
スイスイ走る。あっという間に、箱根出口に着いた。
「もう箱根だよ!」
と後ろに声をかける。
「もう着いたの、早っ」
と母が驚いている。
「さすが、車は早いね」
私もそう思う。
これから芦ノ湖方面に向かう。
私が道を間違えて、箱根新道をうんと手前で降りてしまったことは、置いておこう。
山道を走る。平日なのに、車が多い。
途中、2回ほど流れが止まった。
「あ、バスだ」
何台か先にいるのでよく見えないが、乗り降りに時間を要しているのだろう。
電車やバスでの旅もいいけど、待ったり乗れなかったり、混んでいたり、それはそれで大変だと思う。
今回は、車で来て正解だろう。
とは言え、もう2時間近く乗りっぱなしだ。
せめて気まぐれにと、祖母に話しかけた。
「あれ、バスが混んでるんだよ、きっと」
「ああそう。だって、全然動かないもんね」
見れば、海外から来ているであろう人たちが、どでかいキャリーケースを持っている。
まあ、ご苦労なことだ。
少しの渋滞と、道を間違えたことにより、予定より30分ほど遅れて、芦ノ湖に着いた。
「着いた!」
「お疲れ~」
「お腹空いた!」
お昼時のレストランである。
平日とは言え、やや混んでいた。
少しだけ順番を待って、入店する。
母も祖母も、あんまりたくさん食べる人ではない。
とりあえず、名物のピザ(マルゲリータ)と、祖母のつまみ用に前菜盛り合わせ、私が欲したクリームパスタを注文した。
飲み物は、祖母がビール、私がアイスコーヒー、そして。
「見て、エスプレッソラテなんてあるよ」
カフェラテやカプチーノならよく聞くが、エスプレッソラテはあまりお目にかからない。
「濃いラテってことだよね」
「飲んでみれば?」
甘いも辛いも、冷たいも熱いも、中途半端を嫌う母である。
試しに注文してみた。
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