母娘3人、箱根旅→´23.05.24~25

12/33
前へ
/281ページ
次へ
 お参りをし、私の御朱印集めに2人を付き合わせ、売店を覗いては特に何もないねと言い合い、のんびり湖畔まで戻ってきた。 「さて、どうしようか」  時刻は3時を過ぎている。  ここからもう1か所遊びに行くには、正直微妙な時間だ。 「ホテル、行っちゃう?」  我々には最終兵器『温泉でゆっくり過ごす』という切り札がある。  そして、芦ノ湖から湯本へ行こうとすると、意外と時間がかかる。何だかんだ20~30分食うのだ。 「いいんじゃない、行っても」 と母。 「何でもいいよ、任せまーす」  ぶれない祖母。 「じゃあ行こうか。せっかくいい宿取ったし、のんびりしよう」  コンビニに寄って、飲み物や酒類を買う。  くねくね曲がる山道を走って――そう、山道だからスピードが出せなくて時間がかかるのだろう――宿に着いた。 「おおっ」  木々の中にぽっかり現れた和風のお宿は、まさに離れ。  駐車場には、うちの車以外に2台ほど停まっていた。  柱も床も天井も、木で作られたデザイン。こじんまりしたロビーは、静かで落ち着く空間である。  フロントの反対側には、浴衣と大浴場に持っていけるカゴが並んでいる。  女性客は、ここから好きな浴衣を選べるのだという。へえ。 「全然、人いないね」 「一応、予約は今日全部埋まってるはずなんだけど」  チェックインを済ませてから、浴衣を選んだ。  高齢者と中年と妙齢の3人組ゆえ少し気恥ずかしいが、まあせっかくなので一応。  私と母が、どれがいいか悩んでいるうちに、祖母が濃紫の浴衣を素早く見つけて取った。柄も派手でなく、ばあさんでも似合いそうなちょうどいいデザインである。  遅れを取った我々母娘もどうにか選んで、2階の部屋に向かう。 「おおっ」  本日2度目の感嘆。綺麗で広い和室。写真で見るより、ずっといい。  ああいう写真って、大体はよく見せようとするものだ。実物の方がよく感じるって、なかなか珍しいと思う。  祖母は、のんびりと座布団の上で座って休み、母は一服し――そして1番若いはずの私が、マッサージチェアで『うえええ』と変な声を出すなどしていた。
/281ページ

最初のコメントを投稿しよう!

21人が本棚に入れています
本棚に追加