母娘3人、箱根旅→´23.05.24~25

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 それぞれが思い思いに休んだ後は、何となく集まってお茶を飲んでいた。  もう何を話していたかも思い出せないくらいの、他愛ない話をする。  夕食はバイキング形式だが、一応は時間が決まっている。  時間制、というわけではない。宿泊客が集中するのを避けるため、入店時間をずらすのだ。  私たちは、18時半にレストランに向かえばよい。まあ、そんなに急がなくてもいいだろう。  そう思っていたのが、よくなかった。 「あれ、もう5時じゃん!」  ふと、部屋の掛け時計を見て驚いた。  おかしい、4時前に来たはずなのに。 「え、夜ご飯何時だっけ」 「6時半」 「まずいまずい、まだ何も支度してないよ」  3人、バタバタと支度を始めた。 「ねえ、普通の浴衣もあるよ」 「じゃあ私、そっちにしようかな」 と母が言った。  祖母は、自分で選んだ浴衣をサッサと着ている。 「私も普通のにしようかな」  地味な浴衣を手に取り、広げてみた。 「……」  襟元に、サイズMと刺繍されている。  この時点で予感はしていた。多分これ、小さい。  旅館の浴衣のサイズで、MとLどちらと聞かれたら、私は間違いなくLを選ぶ。大中小だったら、大だ。  平均的なサイズからして、女性客にはMが用意される。それはわかる。  しかし、私は平均的ではないのだ。Mを着てみてごらん、つんつるてんだ。 「やっぱりダメだ!」  今回も例にもれず。  まるで、かぶき者の着流しみたいになっている。あるいは、うっかり子供用を着てしまった男子中学生みたいだ。  もしやと思って、持ってきた浴衣を広げてみた。腰ひもがあるということは、きっと――。 「あ、こっちの方が長い! 私やっぱりこっちにする!」  おはしょりが、悲しいくらい短かったが。 「ええ……みんなそれにするなら、私も着ようかな」 と母が言い出した。 「着なよ、着なよ。どうせ知ってる人なんていないし」 「上着あるから、そんなに見えないよね」 「うん」  わあわあ言っている私と母、1人でサッサと支度を済ませた祖母。  早くしないと、ゆっくり浸かる時間がなくなってしまう。  3人、バタバタと部屋を後にした。
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