母娘3人、箱根旅→´23.05.24~25

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 この宿では、隣のおかだホテルの大浴場を利用できると、冒頭で述べた。  一応、ふるさとの方にも浴場はある。ただし、かなり小さい。  ふるさとの浴場を利用する場合、ロッカーの鍵は部屋から持って行く。  チェックインした際に、人数分の鍵をもらっていたのだ。だから、使えるロッカーは自然と決まってくる。  隣の大浴場は、行った先の空いているロッカーを好きに使ってよい。  もし、ふるさとのお風呂が良さそうならと思い、鍵を持ってきた。  どんなものかと、覗いてみる。 「うーん」  確かに、割と狭い。  洗い場は3つ。私たちで使う分にはちょうどいいが……。 「誰か来たら面倒だよね」 「そうね」 「せっかくだから、広いお風呂行こうか」 「そうしよう、そうしよう」  私を先頭に、わっせわっせと隣の建物へ歩いて行く。  途中、何度かスリッパを飛ばしそうになる。  一体、我々は箱根まで来て、どうしてこうもドタバタしているのだろう。  あ、引率してるのが私だからか。  大浴場へ行くには、エレベーターに乗って8階まで上がる。 「エレベーターってどれだ? これか?」  目に入ったエレベーターに、ノリで入る。 「?」  行き先ボタンが、6階までしかない。 「あれ……?」  おかしいと思いつつ、とりあえず6階を押してみた。今思えば、どうしてすぐ下りなかったのか、謎である。  チーン。  当然、エレベーターは6階で止まる。 「……」  妙に廊下が薄暗い。絶対に違う。間違えた。  一瞬、6階で降りて正しいエレベーターまで歩こうかと思った。  いや、やめよう。迷う。  ただでさえ、時間がないのだ。これ以上、アホなことをしている余裕はない。  最悪、1階なら誰かスタッフさんもいるだろう。 「間違えた! 戻る!」  孫の号令で、3人またエレベーターに乗った。  他に客がいなかったことが、せめてもの救いであった。
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