母娘3人、箱根旅→´23.05.24~25

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「ふう」  数分後、我々は無事(?)、温泉に身を沈めていた。  大浴場は、これまた思ったより広かった。洗い場が、部屋に対してコの字に設置されている。  その分、数は少なくなるわけだが、何が嬉しいって、シャワーが後ろに飛ぶのを気にしなくていいことだ。  全体的に、ゆったり広々作られている。 「こっちにして正解だったね」 と私は母に言った。 「うん、こっちの方がいいよ」  答える母は、ゆでダコのように真っ赤だ。  祖母も、少し離れたところで温泉に浸かっている。  脱衣場では、ロッカーの鍵がうまく閉まらないと言い、洗い場に来たら今度は、鍵を閉め忘れたと戻っていった祖母であるが、今はのんびりお湯を楽しんでいる。  高齢になってヌケたのもあるだろうが、元が少し天然の入っている人なのだ。  こうだと思ったのに、なんか違ったとか、うっかり忘れたとか。  まあ……私もそういうところがある。  信じてほしい。最初はそう思っていた、あるいはそうしたはずなのだ。  でも、できていなかっただけなのだ。自分でもよくわからない。自分が1番、わからない。  意図せぬケガなど、まさにその典型である(しかし、意図してしたケガというのも一体何なのか)。  両親にも、その傾向がないとは言えないが、私ほどひどくはない。  ああ、私のこういうところは、祖母から似たのかな……などと思ったのだった。  そう言えば、祖母も突拍子のないケガをすることが多い。  いつか、自転車のカゴにビールの24本ケースを入れて走っていたら、重すぎて制御不能になり、転んだことがあったなどと話していた。  そりゃ、転ぶに決まってると、母が呆れていたのを覚えている。 「鍵、母ちゃんが持ってた方がいいんじゃない?」 と私は尋ねた。 「うん、だからもう私が持ってる」 「仕事早っ」  すっとぼけた母親と娘を持つこの人も、大変そうだ。
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