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右手には箸、左手にはビールジョッキ。正直、アイスを食べるシチュエーションとは程遠いように思うが、差し出されちゃ食べないわけにいかない。
「美味い……つめたっ!」
知覚過敏が、アルコールのせいでさらに過敏になっていた。
「普通のアイスだよね」
「そうだね、パクパク食べられるやつね」
普段は、どっちが子供かわからない(!)母であるが、食べさせてきたり譲ってくれたり(それも自然に)すると、ああ、私の母親なんだなあと思う。
甘いものを食べるとしょっぱいものが食べたくなると、よく言う。
反対もまたしかり。
結果的にチョコ味のアイスは、酒飲みのよい小休止となった。
アイスで口の中が冷たい。スッキリした。
「ようし、何かつまみを取ってこよう」
さも当たり前のように、スッと立ち上がった。
こんな状態だから、私たちはレストランの閉店時間まで居座っていた。
気が付けば、他に1~2組しか残っていない。
それも、私たちより後の時間に入ってきた人たちだ。
つまり、私たちが1番長くいたことになる。
しかし、まだ9時半。寝るには早い――と思うのも、ややどうかしている。我々の生活リズムが、いかに不健康かお分かりいただけるだろう。
部屋に戻って、飲み直す。
コンビニで買った箱根の地ビールを開けた。
最初に脱落したのは、祖母。
気持ちよさそうに、いびきをかいて眠り始めた。
その後、母と私でまた話し始めたのだが――。
「さすがにもう寝ない? 1時になるよ」
朝早かったわけではないが、ずっと運転していたし、昼寝もしていない。
眠くはないのだが、明日に響くと困る。
あと、ちょっと飲みすぎた気がする。
母は少し話し足りないようだったが――その機会は、またいつか作ればよい。
祖母のいびきが少しうるさいが、とりあえず布団に潜り込んだ。
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