母娘3人、箱根旅→´23.05.24~25

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「いやあ、まさか部屋までダッシュする羽目になるとは」  やれやれと肩をすくめつつ、2人のもとへ戻った。 「いくら払えばいいの?」  祖母に聞かれたので、1人分の宿泊料金と、ビール飲み放題料金をもらう。  本当なら、孫の私がプレゼントだよと言って、ドーンと3人分払えたら1番よいのだろうが、それができるほど私も裕福ではない。  何より、祖母がそれをよしとしないだろう。  実は1日目。ホテルに向かう途中に寄ったコンビニで、車代だと言ってこっそり1万円を持たせてくれたのだ。  車代は、本当に私が自分で持つつもりだったが――押し付けられてしまっては、仕方ない。  この旅行はかなり前から上がっていた話。  きっと祖母も少しずつお金を貯めていたのだろう。  これが例えば友人なら、やっぱり割り勘になるはずだ。  家族は唯一の関係ではあるけど、特別扱いするべき関係ではない。  あくまで、対等でいたい。じゃなきゃ、楽しくないから。  ということにしておこう。 「私ね、ちゃんとピッタリお金用意して、封筒に入れて、テーブルに置いておいたの」 と母が言った。 「でも、その封筒を置いてきちゃった」  これはズッコケるしかない。 「だからごめん、今度でいい?」 「いいよ」 「お金はちゃんとあるんだよ、家に帰ればすぐ渡せるんだよ」 「わかった、わかった」  どうどう、となだめたら、少しおとなしくなった。
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