くまのほそみち～その2～

小田原の友人に会いに行く&もちろん箱根も～1日目～→’22.06.17

　結局、天ぷらそばにした。とろろに挑戦したい気持ちもあるが、ここは安定の天ぷらで行こう。

　重要なのは、決して妥協したわけではないということだ。私は天ぷらが食べたいのだ。この気持ちに嘘偽りはない。教会で誓ってもいい。

　K子さんは、とろろをつけて食べる形式の、冷たいそばを頼んだ。

「私のとろろ、ひと口あげるよ」

　なんだか、こんなに親切にしてもらっていいのかと思った。思いながら、ありがたくとろろに浸してズルリと食べるのだから、食いしんぼうというのも、よくない。

「どう？」

　なるほど、これは美味しい。自然薯のとろふわな食感に、混ぜためんつゆの味と生卵の甘みが隠れている。
　卵かけごはんが好きな人なら、好きだと思う。私はそうだ。

「口の周りとか平気そう？」
「はい、多分……ああ、これはワサビですね」

　とにもかくにも、K子さんの協力で私は無事とろろデビューを果たすことができた。
　今度そばの名店に行ったら、とろろを頼んでみるのもいいかもしれない。

↓天ぷらは美味い。そばも美味い。なんだって美味い。

↓通された席が、たまたま外のよく見える場所だった。壁も窓もなく、開け放たれている。でも、雨や冬は大変かもね。……さすがに閉めるか。

　お腹も心も満たされた私たちは、駐車場に戻ってきた。

　ふと、K子さんが向かいの和菓子屋さんに入っていく。おや？と思いつつ、私も後を付いていった。

　はこね　菜の花。

　まんじゅうやらどら焼きやらが売られている。お店の雰囲気も商品のパッケージも、ほんわかしていて可愛らしい。

　そうだ、近く地元の友人に会うからお土産買わなきゃ……明日考えよう。

　買わねばと思う割には後回しにしてボケっとしている私の隣で、K子さんは単品でお菓子を買っていた。

　K子さんが店に入れば付いて行き、K子さんが出ればノコノコと付いて行くだけの私に、ポンとお菓子をくれた。

「パリパリ焼きモンブランって言うの、あげる」
　なんと、私に買ってくれたとは。

「いいんですか？　ありがとうございます」
「ホテルに行ったときにでも食べて」

　パリパリ焼きモンブラン、お味はいかに。それは、また後ほど。