いざ北九州へ~1日目はバタバタの小倉編~→23.08.16

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 しばらく経って、電車が動き出す。  新宿の少し手前で、下車した。ここで、地下鉄と連絡する電車に乗り換えるのだ。  だが――。 「あれ? これ、間に合うのか?」  電光掲示板に表示されている時刻は、とうに過ぎている。  私が乗る予定だった電車より、後に来るはずの電車が先に来た。  これは、地下鉄には行かない。新宿止まりの電車だ。 「ダメだこりゃ!」  心の中で長さんのセリフを吐き捨て、私はそちらに飛び乗った。  予定変更だ。中央線で行かないともう間に合わない。いつ来るかわからない電車を待っていても、仕方ない。  そもそも、その中央線も間に合うか、どうか。車内で時間を調べる。  よし、7:01に乗れば、15分に着く。同じ駅構内だし、15分あれば新幹線への乗り換えも大丈夫だろう。  そのためには、電車が着いたと同時にダッシュだ。  乗客全員、考えていることは同じだった。  扉が開く。みんなドタバタ走っていく。  私はと言えば、キャリーバックをゴロゴロ引いている場合ではない。持ち上げて、走った。  連絡改札を抜ける。階段を駆け下りる。その間、ずっと持ちっぱなしだ。  いつもは人でごった返している中央地下通路も、今日は人が少ない。  ありがとう、休日の早朝。  これが平日の朝だったら、ちっとも進めなかっただろう。  人を蹴っ飛ばして、数十人は病院送りにしないと、ダッシュは不可能だ。  通路の途中に、各ホームの発車案内が表示されている。  6時57分、東京行き。 「乗る!」  エスカレーターでホームへ上がる。息は上がり、腕はパンパンだ。  私がホームへ着いたのと、電車が停車したのがほぼ同時。  間に合ってよかった……。
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