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ホームから階段を降り、改札に向かう。階段には、新幹線を待っているであろう人たちが、待ちくたびれて座り込んでいた。
人、人、人。びっしり埋め尽くされている。
電車をひたすら待っている人もいれば、特急料金の払い戻しに並んでいる人もいる。
なんでも、2時間以上遅れた場合は、特急料金分だけ払い戻しできるらしい。なるほど、2時間も遅れちゃ特急の意味なんてない、ということだろうか。
ま、こちらは3時間も遅れてますからねえ。
私は今回、ネットで予約した。チケットレスだし、支払いもカードだ。
この場合、払い戻しは向こうで勝手にしてくれるらしい。
よかったよかった、並ばなくていい。
早くここを出て、M子さんと合流しなくては。
と思うのだが、私は初めての小倉駅。さらに人が多すぎて、何がなんだかわからない。
M子さんに現在地を写真付きで伝えて、私は待つことにした。変に動かない方がよい。余計なものはいらない。パスコ。
「……菜名ちゃん?」
人混みの中から名前を呼ばれて、ハッとした。
「M子さん!」
会いたかったよ、待たせてごめんなさい。
もしや今日中に会えないのではと思っていたのは、向こうも同じようだった。2人してわあわあ言って、無事に落ち合えたことを喜ぶ。
「いやあ……すごい人ね」
「小倉は福岡で2番目に大きい駅だから、普段からそれなりに人はいるんだけど……ここまでは初めて見たよ」
「本当、こんなことになると思わなかった」
「そうだよね、よく来れたよね」
「もう、20時半の地ビールに間に合えばよしとしようと思ってた」
むしろ、そこを逃したら、私はしばらく立ち直れなかったであろう。
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