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「美味しかった!」
「本当、よかったよかった」
2人とも、ほろ酔いで道を進む。
私はこのままホテルへ、M子さんは大通りのバス停から、バスを拾って帰る。
時刻は22時半を過ぎているが、こんな時間まで走っているのだろうか。
「うん、大丈夫だよ。いつもこれくらい遅くまで飲み会とかしててもね、バスで帰れるから」
都内――といっても、地域で変わるだろうが――の路線バスは、あまり夜遅くまで走っていない。走っていても、深夜ダイヤとして、23時に1、2本くらいだろうか。
電車の方が、よっぽど遅くまで動いている印象だ。
そんな感覚を持っているものだから、やや心配になったが、M子さんがそういうのなら大丈夫なのだろう。
「もし、バスがなかったら電車で帰るよ」
「うん、そうして」
翌日は、M子さんが車で迎えに来てくれる。
今日が遅かったから、待ち合わせは10時とお願いした。部屋の清掃が始まる時間である。
「全然大丈夫だよ、朝早くなくても回れると思う」
とのことだ。
「じゃあ、また明日ね!」
「お休み!」
手を振り合って、M子さんと別れた。
さて、ホテルに帰る前に、コンビニに寄りたい。
水を買っておく必要がある。それも、2Lの大きいペットボトルだ。
いったん駅まで戻って、ファミマに寄った。地図で探したら、ここが1番近かったのだ。
飲み直し用の酒を買おうか迷って、やめた。さすがに時間が遅すぎる。
この後、風呂も入らなければならないのだ。
お目当ての2Lと、500mlペットボトルも購入した。
どちらもバッチリ冷えている。袋を断って、素手で抱えて持つのだが、冷たいのなんの。
明かりのだいぶ減ったアーケード下を歩いて行く。
日中は気が付かなかったが、実は飲み屋も多い。
飲み終えたであろう人たちがたむろして、道まではみ出ている。
あーあー、盛り上がっちゃって。
意外とこんな感じなんだな、小倉駅の周り……。
そう思って、よく考えたら東京の方がひどいことに気がついた。
慣れとは怖いものである。
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