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ホテルに戻ってきた。
ひとまずは、風呂だ。
体中がベタベタしている。早く流して、さっぱりしたい。
このホテルを選んだ理由は、人工炭酸温泉が楽しめる大浴場があるからだ。
小倉駅周辺で大浴場があり、かつリーズナブルなホテルは、ここのみであった。
だがしかし、シャワーが3つと少なく狭いうえに、男女交代制である。
ビジネスホテルあるある、温泉頑張って作ったけど、元が広くないからそんなに広い浴場を作れない。
いや、それでもないよりはマシだ。
なお、女性の利用時間は、15:00~17:50、20:00~21:50、翌朝8:00~9:30。
よって、今現在23時は、入れない。
が、返ってそれでいい。今はシャワーだけ浴びてさっさと寝て、朝ごはんを食べた後に、温泉に入ろう。そうしよう、そうしよう。
たったのシャワーだけでも、時間が溶けるのが入浴時間というものである。
バタバタとユニットバスから出て、ぶおーぶおーとドライヤーを当て、シャカシャコと歯磨きをしたら、あっという間に日付が変わってしまった。
うん、お酒買ってこなくて正解だった。
M子さんツアーの内容からして、明日が本番である。もう、寝よう。というか、旅行の楽しさと酔いでマヒしているが、私も相当に疲れているはずなのだ。
うっかり、明日具合が悪くなりました、なんてことになったら、最悪である。
ベッドの掛け布団をめくる。
「?」
枕がおかしい。
いや、おかしくないのだが、長い。そして固い。さらに、高い。
見た目を例えるなら、抱き枕に近い長さだ。抱き枕なら、まだよい。しがみつくほどの柔らかさがあるからだ。
これが、頭を乗せてみると全くしずまない。
痛い。首がひん曲がりそうだ。
そう言えば、1階のフロント横にいろんな枕があったな。固さや大きさが選べて……そういうことか。
チェックイン時は、そこそこ残っていた。でも、さっき戻ってきた時には1つも残ってなかったんだ。
だろうな、この枕だもの。
いっそのこと、枕を外した方が寝やすいかと考え、どけてみる。
「……」
微妙だ。
枕を戻す。高い。
この、ちょうど間が欲しいんだけどな……。
明日は絶対に枕を確保してやろうと誓いつつ、今日のところは無理やり眠りにつくことにした。
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