熊野の熊野による、熊野のための熊野詣~24.02.23~

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 ここで恒例の、行き先説明タイムとしよう。  実は今回の旅行を計画するまで、私も熊野についてはよくわかっていなかった。  八咫烏と、山の中にある神社と、那智の滝と、あと平治の乱のときに、清盛が熊野にいた、そんなボヤっとしたイメージしかない。  熊野という地名は、『奥まった場所』という言い回しから来ているとも言われる。  おくまった、くまった、熊野。こういうこと?  行ってみてわかったが、確かに紀伊半島は奥深い山という印象を受ける。後述するが、自然のスケールが関東とは違う。  伝承によれば、熊野は山岳信仰から始まったとされている。美しくも偉大なる自然に人々は『畏れ』と『感謝』の気持ちを抱いた。  いや、わかる。現在地もわかって、何でもパパっと調べられて、1日で移動できてしまう現代においても、その姿に圧倒されるのだ。  まだ科学も発達しておらず、地理も解明されていなかった時代の人からしたら、そりゃもう神とか人を超えた力に見えて、当然だろう。  その中に、神を祀るべく神社が建てられるわけだが、有名なのが『熊野三山』と称される三社。  熊野速玉大社、熊野那智大社、熊野本宮大社。  全部、熊野が付いている。  昔から、熊野三山を巡れば過去、現在、未来の安寧を得ると考えられていた。  速玉が前世の罪を清め、那智が現世の縁を結び、本宮が来世を救済する、という流れである。  そりゃ、みんな参拝するわけだ。  ならば、今回の私の旅行も、この三山をメインとして計画しよう。  速玉大社から歩いて10分ほど行くと、神倉神社がある。  伝承によれば、熊野の神々が初めて降り立った地が、ここなのだそう。  へえ、行けるなら行ってみたい。  では、三山プラス、行けたら神倉神社ということで。
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