熊野の熊野による、熊野のための熊野詣~24.02.23~

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 行きより、また少し暗くなっている。人はいないけど、車は走っている。普通の街なのだけれど、森が近い。山が近い。  東京や関東から離れて他の地域を訪れる度に、いかに関東平野が平坦で広いかということに気付かされる。  私の生まれ育った場所では、高いところに上がりさえすれば、うんと遠くまで見える。  運が良ければ花火大会の花火も見える。もちろん富士山だって見えるし、東京タワーもスカイツリーもわかる。北関東に落ちている雷だって、見える。  ところが他の地域に行くと、まあ山が近い。関東の、遠くに並々と見える山とは違い、すぐそこにデン、とある印象を受ける。  山が遠い地域は、もれなく海が近い。海か山か、大体どちらかだ。  多分、こちらが日本列島のスタンダードなのだろう。関東平野が特殊なのだ。  ところが、我々は当然、あの突き抜けた景色に見慣れている。  だから、他の地域に来るたびに、すごいすごいと大喜びしてしまうのだ。  ちなみに、この『山がデン』は西に多い気がする。東北ではそこまで強い印象を受けない。  おそらく、全体が山なので自分がいる地点の標高がすでに高いのと、山の起伏の傾向が、割と関東と似ているのではと、見ている。  地形の違いはやはり、中部地方の日本アルプスが境なのだろうか。  もしかしたら、他の章でも同じ語りをしたかもしれない。私は昔から、前に話したことを忘れて、同じことを喋りがちなのだ。  ここ最近では、前に話したかもとわかっていても、わかった上で話すまでになってしまったから、タチが悪い。  喋りだけでは飽き足らず、ここ、もとい文章でも同じことをわかった上でやろうと言うんだから、我ながらもう始末に負えない。
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