熊野の熊野による、熊野のための熊野詣~24.02.23~

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 初めて来たスーパーを見るのが、無性に楽しいのは、私だけだろうか。  うちの近所にない商品が、こっちはある。逆にこれはないのか。タオルが安い。カップ麺の種類が多い。  各スーパーの違いを見つけては、自分の買っているストライクゾーンにどこまでハマるのかを考えて遊ぶのだ。  さらに、仮に私がこの近辺に住んだとしたら、ここでどれだけ買い物ができるだろうか、なんてことまで考える。  そんな私が、だ。地方のスーパーに来て、楽しくないわけがなかろう。  やはり、アレがあるだの、これはないだの、心の中でつぶやきながら、何度もウロウロして回った。カートを使って正解だった。  時刻は18時半。しかしピークを過ぎたのだろう、店内は空いていた。ウロウロし放題である。何を食べようか、せっかくだから買って帰ろうか。頭がワクワクして仕方ない。  なのに、無駄に広い。  棚が妙に低い。おそらく、店の広さほどには、商品の数はないと見た。  通路が広い。カートのすれ違いも余裕で行ける。何なら、3台並んでも大丈夫だと思う。  全く、この余裕を都内でも実践してほしいものだ。  いや、無理だな。広くするだけでなく、人を減らさないと不可能だ。物理的に無理だった。  つまみの第一候補は、もちろんお惣菜だ。ホテルの各フロアに(これが非常にありがたい)電子レンジがあるから、温かいものも食べよう。  どれ、と売り場を覗き込んで――ひっくり返りそうになった。  再度申し上げる。時刻は18時半である。まだ19時前だ。  なのに、広い惣菜コーナーの商品たちは、ほとんど売り切れていた。 「参ったな」  間違いない。『この商品は4時以降に作りましたシール』がない。そりゃ、売り切れるわけだ。  副菜コーナーは、まだたくさん残っていた。あれとこれの組み合わせがいいか、これも足したらさすがに多いか、と考える。  いつものスーパーでないから、量の加減がわからない。  ま、いいか、後はスナック菓子を買っておこう。足りなければ食べたらいいし、余ったら持って帰ればいい。  さて、何を買ったかは、後のお楽しみに。
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