熊野の熊野による、熊野のための熊野詣~24.02.24~

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 店を出てすぐは、街中を走っていた我がレンタカー。交差点を曲がると、一気に山道へと姿を変えた。  国道168号線は、ほぼ熊野川に沿って走っている。初めのうちは山間を通るので、景色はザ・森だ。  走り進めると、途中から川が見える。新宮から本宮へ向かった場合は右手に、反対方面なら、もちろん左手だ。  見えると言っても、運転中にどれどれと覗き込むわけにはいかないが。  とは言え、視野を広く持てば、多少は目に飛び込んでくる。  思わず、声を上げた。  白い砂利に、青みがかかった水面、背景には雄大な山。やっぱり、関東の山より近い気がする。  車で来ているから楽だし、うっかり忘れそうになるけど、ここは山奥なのだ。整備された道路がなかったら、そもそも車がない時代だったら。  道路わきにせり立った山肌を見て、川の向こうにそびえたつ崖を見て、初めて気づく。ここが、人の立ち入らないような山を、どうにか突っ切って作った道なのだと。  本宮大社に近付くと、やや景色が開けてきた。空と向こうに見える山と、広い川。しかし、裏を返せば何もない。普通の山道である。  本当にこんなところに観光スポットがあるのだろうか。  と思っていたら、急に道路沿いに店がズラズラ現れ始めた。あるかないかの歩道はグッと広くなり、アスファルトでキチンと整備されている。 「あれあれ」  のんびりドライブしていたら、いつの間に近くまで来ていたか。駐車場の入り口を見逃さないようにしなければ。  本宮大社から道路を挟んで向かいに、『世界遺産熊野本宮館』という施設があり、60台弱が停まれる駐車場がある。そちらを利用してもいいし、少し先にある河原の駐車場を使ってもいい。  なお、河原の方はサイトによると300台駐車可能とのこと。
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