熊野の熊野による、熊野のための熊野詣~24.02.24~

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 階段を上りきると、警備員の人が立っていた。 「この先、手前までお参りできます」  手前まで? どういうことだ?  頭に『?』マークを浮かべつつ、行けるなら行ってみようの信念に則り、先に進んでみた。 「あれ?」  拝殿の手前で、規制線が張られている。その先に行けないのだ。 「?」  この日、横綱による奉納土俵入りが行われていたのだ。それも午前中。いわく、午後1時くらいまでは、一般の参拝者は立ち入れないのだそう。 「あんぎゃー」  やってしまった。まさかと思い、本宮大社の公式ホームページを見てみる。 「ちゃんと書いてあるじゃん!」  何故見なかった、私。  だから、御朱印やお守りも下にあったのか。誰だよ、混雑対策とか言ってたの。  しかし、困ったと唸っていても仕方ない。  じゃいいよ、と通してくれるわけもない。  さあ、どうする。  確かに、午後にもう1度来れば参拝はできるだろう。今すぐに那智に向かい、参拝を済ませてから、また戻って来るか。17時までに。  間に合うか?  本宮と那智の間を行くには、車で片道1時間。現在、10時半前。いやしかし、あまりに時間のロスが大きい。もったいない。  この後、本宮大社の周辺も散策したいし、御朱印だってほしいのだ。大体、那智だってどのくらい時間を要するかわからない。  ああ、本宮と那智の順番を、逆にしていれば。  結果。本宮大社の参拝は諦めることにした。また、来よう。そういうことだ。  たった1回の来訪で、済んだ気分になるなという、カラスのお告げと受け取ろう。そういうことにしておこう。  となれば、早速次に動いた方がいい。  見えない拝殿に一礼して、長い階段を引き返した。 ↓本当は、あの向こうまでお参りしたかったのさ。トホホ。32059ae2-4660-4a3d-a9e7-1b2dd57a077c
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