熊野の熊野による、熊野のための熊野詣~24.02.24~

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 前のページで、付近を散策したいと書いた私だが、その目的地は『大斎原』である。  読み方は『おおゆのはら』だ。『斎』が『ゆの』とは、どうしてそうなるかさっぱりだが、そう呼ぶというのなら、そうなのだろう。  実は本宮大社、かつては熊野川と音無川、岩田川の合流地点の中州にあった。  敷地内には5棟12社の社殿や、神楽殿や能舞台があり、現在の数倍規模であったと言われている。  江戸中期までは、中州へ渡る橋はかけられておらず、みんな川に入って、ザブザブ歩いて参拝したのだそう。それが同時に、身の清めとなる。上手くできてるもんだね。  でも、自然の中を一生懸命歩いてきて、パッと視界が開けたら、川の中に荘厳なお社を見つけるって、かなり感動するのでは、と私なんかは思う。  願わくば、私もそんな姿を見たかった。  ところが、明治22年に熊野川が氾濫して大水害を引き起こした。中州もまるっと飲み込まれ、12社のうち、8社が流されてしまった。  かろうじて水害を逃れた4社が移動した先が、今の本宮大社というわけだ。  現在、大斎原は社殿の土台と、流された8社を祀る祠が建てられており、背の高い木々が生えている、とても静かな場所となっている。  立派な社殿はないけど、ここもまた熊野大社なのだ。ぜひ行きたい。  そして、拝殿で参拝できなかった分、こちらに気持ちを全投入してお参りしよう。  先ほど見た、出張式社務所(何だそら)の前をまた通る。  大斎原に行くには、さらにその先を歩いて行く。で、駐車場に向かうと、もうこちらには戻って来ない。  なので、効率を考えたらここで御朱印をもらっていくのがベストだ。ベストなのだが――。 「参拝してからでいっか」  ただでさえ、お参りできていないのだ。今日、私はまだ1度も二礼二拍手一礼していない。消化不良であること、この上ない。  多少遠回りになっても、運動だと思えばいい。日頃、どれだけ運動不足になってると思ってるんだ。デスクワークをなめてはならない。
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