熊野の熊野による、熊野のための熊野詣~24.02.24~

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↓今度は下流を拡大して撮影。手前の赤い橋が新、奥が熊野大橋。1番奥にあり、1番低い橋がJR紀州本線。  こうしてみると、海が近いんだなとわかる。4d5211ea-3553-4342-a0cf-0d854529b8ce ↓近くに寄ってみる。綺麗だけど……まあ、上流(本宮)の方が綺麗よね。22556b70-09b3-4206-a54f-8cc3514270a9  周りに人がいないというのは、時にタチが悪い。  景色がほとんど変わらないから、ここへ来てどれだけ経ったか、すぐわからなくなる。何もせず見ているだけの時間が惜しくて、離れにくくなる。それ以前に、離れるきっかけがない。  普段は、電車の時間や始業時間に追われている。だから、他の理由にかこつけて動くことができる。いかに、自分の裁量でタイミングを決める機会がないか、よくわかる。  一切の制約のない時間にいることに、私たちは慣れていない。  じわじわ疲労をためた足も、今こそというきっかけにはならなかった。相変わらず、どこまで進もうか決めあぐねながら、1歩を踏み出す。 「!」  左足が、着地しようとして軽く滑った。小石がじゃりっと音を立てる。かろうじて、踏ん張った。  危ない、足首を捻るところだった。  ケガまでは行かないが、若干痛みが出ている。タイムアウト。私が自覚しているより、ずっと足は疲れている。  こんなところで足を捻って、湿布を買いに行く羽目になったら、今までの成功が霞んでしまう。そうなる前に撤退だ。  とにかく、砂利から出よう。  下りてきた階段へ戻るより、1つ先へ直進した方が早い。  アスファルトの上に立った。やっぱり、安定感が違う。  たくさん歩いたおかげで、速玉大社の傍まで来ていた。せっかくなので、その前を通りつつ、ホテルに引き返していく。  ちょうど1日前も、ここへ来て、薄暗い夕方の中の灯籠を見た。  ずいぶん前のことのようで、つい最近のことのようにも思えた。
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