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食後のコーヒーとクロワッサンを取ろうと立った。パンを焼くトースターは2つ。先客の少年が、デザートコーナーにあったマシュマロを焼いている。
「何焼いてるん?」
少年の友達が2、3人、わらわらと寄ってきた。
一昨日、昨日といて思ったのだが、和歌山を観光している人の中には、結構関西なまりが多い。感覚的には、半分くらいがそうだった。
やはり関東よりは、近畿や中部からの方が来やすいのだろう。
「マシュマロ」
「焼きマシュマロか」
「1個だけ?」
「1個だけ」
え、1個だけ?
私もうっかり気になって、見てみた。と言っても、どれ見せてみと覗いたわけではない。
トースターの網の上にポツンと、小さいマシュマロが1つだけ乗っていた。
少年の仲間たちがわらわらと去った。入れ替わるように、これまた仲間と思しき男性が1人やってきた。順番に料理を取って回ってきて、少年に気付いたようである。
「何や、マシュマロ焼いとんのか」
「うん」
ひょいと、男性がトースターを覗き込む。
「1個だけ?」
「うん」
「なんやねんな! 10個くらいバーンと焼いたらええやんか!」
ケラケラ笑い、言いたいことだけ言って、彼は去って行った。
おっちゃん、10個はちょっと多いと思う。
一方の少年は、全く気にする素振りも見せずに、ただトースターの中のマシュマロ(1個)を見つめている。彼にとっては、周りの反応などどうでもいいのだ。1つのマシュマロを美味しく焼くことに、全ての集中を注いでいる。
なんというか、自由な人たちだ。
少年のマシュマロが、先に焼けた。彼がお皿に小さいマシュマロ(1個)を乗せて去るのを見送る。ほどなくして、私のクロワッサンも焼けた。昨日の反省を生かして、今日は焦げないようにしたぞ。
クロワッサンとホットコーヒーを堪能しながら考える。
面白い子供とか、バリバリの関西弁のツッコミとか、なんか既視感あるなと思った。
あ、ケンミンSHOWだな。
インタビューを受けている県民のみなさんに、どことなく雰囲気が似ていたのだ。
全国を回るって、やっぱり面白いよね。
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