くまのほそみち～その2～

那須塩原と、長楽寺と猫～24.04.29

　突然だが、私は猫が好きだ。

　好きと言っても、飼ったこともなければ、その生態に関して特別詳しいわけではない。
　私にとって猫とは、その辺にいる野良猫を遠くから見ては、うっかり目が合ってお互いフリーズする遊びをする生き物である。

　つまり、少し離れたところから眺めるくらいがちょうどよいのだ。

　特に何かしてもらわなくてよい。あくびをして後ろ足で首元を掻いて、むっちょむっちょと寝てもらうだけで充分だ。そうか寝るのか、と頷くだけで120点満点だ。

　私は生き物を飼ったことがない。実家の1階に住んでいた祖父母が犬を飼っていたことはあるが、私の家の中に動物がいた経験はない。

　動物が好きであることと、自分の元で飼うのは、全く別の話だと思う。

　もちろん、家に動物がいてくれたら嬉しいし癒されるし、幸せだろう。だが述べた通り、私は動物と暮らした経験がないし、自分の生活に動物が入り込む余地はないように思う。

　旅行やライブ遠征で家を空けることもあるし、家は狭い。平日は朝早く家を出て、帰宅したらバタバタやることやって、寝なければならない。

　大体、自分の世話も充分にできない人間に、動物のお世話などできるはずがない。

　ところがこんな私でも、猫を身近に感じられるツールがある。
　きっと多くの人が利用しているであろう――動画だ。

　私が大変お世話になっているのは、那須の長楽寺というアカウントだ。

　栃木の那須にある、家族で経営されている小さなお寺ながら、その歴史は古く、那須三十三所観音霊場の、第12番札所でもある。