那須塩原と、長楽寺と猫~24.04.29

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 ここらの道は初めてだが、道路は広いし真っすぐだしで、とても走りやすい。ただし、大通り以外の道だと、ややアスファルトがボコボコしている箇所もあるので、ご注意。  そして、2車線かと思いきや、左がいきなり左折専用レーンになったり、唐突に1車線になることもあるので、これも要注意。  でも見通しがいいし、交通量もそんなに多くないので、あまり焦ることはない。あと、前に倣えば大体大丈夫だ。先輩の言うことを聞いておればよろしい。  途中、裏道を走っていたら、正面にカラスが1羽立っていた。  私が先頭で、後ろにもう1台ついている。もちろん、カラスをはねるわけにはいかない。スピードを落としつつ近付いて、カラスに私の存在を知らせることにした。  大抵の鳥は、この時点で気付いてバサッとどいてくれるのだが、このカラス何のつもりか、その場でウロウロしている。 「いやカラス、どいてよ」  うっかり口から文句が出たが、窓を開けていないのでカラスには聞こえない。仮に窓を開けていたとしても、カラスは聞かないだろう。多分、あいつはそういうやつだ。  このままじゃ停まっちゃうよ……と思ったタイミングで、ようやくカラスがどいた。ただし、飛ばない。てこてこ歩いて、隣の車線に移動しただけだ。 「それでいいのか」  ずいぶんのんきなカラスだと思いながら、スピードを回復した。  しばらく走ると、今度は反対車線に違うカラスを見つけた。車が近付いているにも関わらず、また動かない。 「……」  いや、あのさ。  人間の勝手とは、重々承知してますよ。だからいいんですよ、いいんだけどね。  そこ、危ないんだって。  道のど真ん中に、えさや巣の材料となりえるものが落ちているなら、まだわかる。だが、そこには何もないのだ。何もないのに、何の目的もなしに、カラスたちはボーっと立ち、ちょっとうろついたりしているのだ。  栃木のカラス、一体何なんだ。  平和なカラスにツッコみつつ、車を走らせた。
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