小田原の友人に会いに行く&もちろん箱根も~2日目~→’22.06.18

4/12
前へ
/281ページ
次へ
 私見であるが、星の王子さまミュージアムは、子供より大人こそ来てほしい場所だ。  パッと見た感じ、王子さまやキツネ(物語をご存じの方にはわかる)の可愛らしいオブジェが建っていたり、バラの綺麗な庭園(これも、物語を知っていると意味がわかる)があるから、愉快で楽しいところ、というイメージを持たれがちなように思う。  いや、確かに楽しいところではあるが、じっくり展示を眺めて、解説に触れ、いろんなことをぼんやり想う……そんな楽しみ方があっていると思うのだ。  初めて来たのは、確か中高校生くらいだったと記憶している。その時も、へえと思いながら見ていたが、大人になった今のほうが、圧倒的に心に刺さるし楽しい。  私の経験上、作品を読んでいなくても楽しめると思う。大まかなストーリーも合わせて解説してくれるからだ。  むしろ、本から入るより、こちらで見た方が『星の王子さま解説付きバージョン』を読んでいるようで入りやすいかもしれない。かなり象徴的な表現が多く、奥深いのだ。  で、後で改めて本を読めば『ああ、これがあのシーンね、そういう意味ね』なんて風に楽しめるだろう。  ここに惹かれるのには、私が創作好きな人間ゆえ――そんな気もしている。 物語が生まれるには、当然、生み出した人の軌跡が必要不可欠だ。その人がどんな時間を過ごし、何を想い、誰と出会ったのか。それらがなければ、その作品はこの世にいないはず。  それは、人生そのものと変わらない。フィクションかノンフィクションの違いだけだ。  人生というと、少し大げさか。でも、物語が人の、命の営みを書き表すものであるなら、やっぱり作品は、その人の生きた1ページになりえる。実際に起きていない出来事だけど、間違いなくこの世に生まれたのだ。それだけは、フィクションじゃない。  それくらい、作者と作品は密接にかかわっている……と、私は思う。  もちろん、裏に作者の姿を感じさせない作品もある。意図的に隠し、それを個性とする場合もあるし、紐解けば見えてくる場合もある。  星の王子さまは、後者だと思う。考えれば考えるほど、隠れた意味が見えてくる。そこに作者の裏話も一緒に来れば、さらに考察が深まる。  国語の授業が好きだった人、小説の考察や解説を読むのが好きな人は、きっとより楽しめるだろう。  星の王子さまミュージアムに来て、そんなことを考えるんだから、やっぱり私はどこか変わってるんだろうなあ。
/281ページ

最初のコメントを投稿しよう!

21人が本棚に入れています
本棚に追加