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入店し、テイクアウトを注文して、待合席で餃子が焼けるのを待つ。
時刻は16時過ぎ。夕飯には早いし、昼食にしては遅い時間である。
店内にはお客さんがチラホラいたが、さほど混んではいなかった。
まあ、10分も待てば焼きあがるだろう。
待っている間、自動ドアが開いて家族連れがゾロゾロやってきた。中年夫婦に、10代くらいの子供が3人。中高生、と言った様子だが、緩いジャージ姿なので何ともわからない。
GWだし、みんな昼過ぎまでダラダラして、お腹空いたから餃子でも食うか、というノリだろうか。いや、何かの用事で出かけたついでに、餃子でも食うか、のパターンか。
ま、何だっていいんだけどね。
1人で知らない土地に来ると、観察が止まらないからよくない。お分かりだろう、暇なのだ。完全に暇を持て余しているのだ。旅先じゃ、スマホを見るのも飽きる。
餃子もそれを察してくれたのか。ボーっとしていた私の耳に、焼きあがりましたの声が飛んできた。
おお、思ったより早い。
レジで精算し、餃子を受け取る。
「ビニール袋、有料ですがお付けしますか?」
「あ……いや、いいです」
いつもの癖で、反射的に断った結果、熱々の餃子が詰まったパックを素手で持つ羽目になった。
車だから大丈夫かと思ったが、心なしかパックはベトベトしている気がするし、これを助手席のシートに置くのは気が引ける。ダッシュボードに置いてもいいが、万が一急ブレーキをかけた場合などに、餃子が宙を舞う危険性がある。
悩んだあげく、リュックに常備していたビニール袋を引っ張り出し、綺麗に包んでからキャリーバッグにしまった。
ビニール袋、もらっておけばよかったよ。
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