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甘いものを買ったら、しょっぱいものにも手を出すのは、食いしん坊の基本である。
続いて私が向かったのは、かまぼこ店の鈴廣。飽きるほど見かけたかまぼこ博物館を運営する、あの店だ。
願わくば、包丁のいらない個包装がいい。おお、限定したって色々種類があるではないか。これは、晩酌がより楽しみになるというものだ。
そして迷う。思ったよりかまぼこも賞味期限が短い。買う分にはいいが、キチンと計算して買わないと、賞味期限切れという悲劇を招きかねない。
今日、仮に少し食べるとして……来週の金、土、日で3日分……と、ショーケースの前で、指折り数える。
悩んだ末に選んだかまぼこを、小さなカゴに入れる。ふと、角を曲がったら、瓶が目に入った。
ビールだ。鈴廣が作ったご当地ビールだ。
「……」
さも当たり前という手つきに、ポーカーフェイス。スッと瓶をカゴの中に入れた。
いや、だってほら、ビールはそんなに種類ないし。悩む時間もかからないじゃない。とは言え、3種類全部買うと重くて仕方ないし、さすがに金の減り具合が目に着き始めている。
なので、我慢して――2種類だけに留めておいた。
ほら、味の好みもあるから。ね。
家に着くまでが遠足、とはよく聞くと思う。
これが熊野式になると、『駅弁もしくは現地のご飯を買って帰宅して、それでお酒を飲むまでが旅行』である。
あくまでも、その日は旅行のために割いた日なのだ。だったら、寝るまで有効に楽しみたいものではないか。
1泊ないし2泊、それぞれの日程で食べきれる量には限界があるから、持ち帰れるものは自宅に回そうという意図もある。
何より、帰ってから夕飯の準備なんて面倒だ。荷物を引きずってるから、途中でコンビニに寄る元気さえないものね。
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