小田原の友人に会いに行く&もちろん箱根も~2日目~→’22.06.18

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 ロマンスカーが来た。車両に乗り込み、席を確認して座る。  今頃、K子さんはどうしているのだろう。会える日の候補に今日が入っていなかったということは、何かで忙しくされているのだろう。  ありがとうございました、私は今から東京に帰ります。  大丈夫、大丈夫。また明日から、いつもの生活を送れる。いい旅だったって、また来ますねって、そう言って離れられる。  電車が動く。  背もたれに身を預けて、少しだけ休む。周りの乗客たちも落ち着いた頃を見計らって、私は菜の花の紙袋に手を突っ込んだ。 「ふふふ」  駅のコンビニで買ったカフェオレとともに、どら焼きを食べようと思ったのだ。  焼きモンブランは、テーブルを汚してしまいそうなので、家で食べよう。 ↓左がどらやき、右2つが焼きモンブラン。5cbe8c61-5cbe-433e-93a3-de983d9aedf3 ↓うさぎが飛んでる。7917f78d-1318-43bb-91fd-3c583d9206bf  なんとこのどら焼き、あんこの真ん中にバターが挟んであるのだ。ああ、背徳の味。でもこれ、美味しい。  このお菓子、絶対に小説で出そう。  どら焼きに満足した私は、イヤホンを耳に装着した。いつもの音楽タイムである。  やっぱり、移動には音楽が欲しい。流れる景色を見つめながら、あれこれ考えたり考えなかったりしながら過ごすのだ。  いや、まずいのではと思いながらも、手は自然と、昨日車でずっと流れていたスピッツを選ぶ。  切ない気持ち、寂しい気持ち、本当なら避けたい気持ちなのに、あえてそこに触れたくなる時がある。生半可にかするより、正面から受け止めた方が、また前に進める気がするから。  気の済むまで感傷に浸ればいい。悲しいけど、どうせ日常に戻ったらそんな時間もなくなるんだから。  寝るには、少し時間が短い。  しかし、向こうに着いたら、ほとんど座れないと思った方がいいだろう。こうしてでろーんとしていられるのも今のうちだ。  せめて、目を閉じて休もう。  帰ったらやることが山ほどあるのだ。  荷解きをして風呂に入って、駅弁とかまぼこをつまみに酒を飲んで、写真を整理して思い返して――エッセイの準備をしなければいけないから。
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