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また箱根に行くwith台風8号~→´22.08.13
〇前章から1週間後。
私は、高校時代の友人、A奈(仮名)と昼食を取っていた。
本来なら、ここにもう1人A香(名前が似ていてややこしいが仕方ない)という友人もいるはずであった。
しかし、前日に2歳の娘ちゃんが発熱。泣く泣く今回はパスしたのだった。
小さい子あるある。用事があるときに限って、大体熱出す。
そんなわけで、私とA奈の2人で、中華を食べながらあれこれ話をしていた。
彼女とは、仕事や(A奈の場合)、趣味(これは私)の合間を縫って、時々会う仲である。
出身市は同じ。彼女は実家に住んでいて、私は少し離れたところに1人暮らし。私の家と彼女の職場は同じ市。離れているようで、何となく近い感覚がある。
マイペースで自由なところもあるが、実はすごく繊細で、情が深く、社会人になってからは人生のことや将来の話もできる、貴重な存在――そう私は思っている。
元気にしてたかい、から始まり、仕事の話や雑談で盛り上がる。
私からの報告は、自然と小田原と箱根に出かけた話になる。というか、お土産を買ってきたのだ。これを渡さなければ始まらない。
先月。友人のK子さんに会いに行った話、おでんを食べた話、1人で星の王子さまミュージアムに行った話。写真を見せれば、当然いいなあと反応が返ってくる。
A奈も、旅行好きなのだ。学生時代はタイに短期留学していたし、行きたいと思ったら即動く行動力も持っている。その辺の感覚も、私と通ずるものがあると考えている。
A奈、やけに星の王子さまミュージアムに食いついている。
「最近読んだんだよ、星の王子さま」
「あらそうなの」
「行きたい! 絶対いつかは行こう」
その様子を見つつ、ふと名案を想いついた。
「じゃあ、夏休みとか行く?」
「え? いいの?」
「いいんじゃない? せっかくだから、行こうよ。箱根」
「でも、菜名行ったばかりじゃん、いいの?」
「全然いいよ、星の王子さまミュージアムだったら私、何回でも行きたいもん」
「マジか!」
「行こうよ、行こうよ」
「行くか!」
「行くか!」
「温泉入るぞ!」
「美味しいもの食べよう!」
こうして、唐突に箱根旅行が決定したのだった。
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