また箱根に行くwith台風8号~→´22.08.13

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 〇1日目  早朝の土曜のTVは、どの局も通販ばかりやっている。もう、何度同じ商品を見ただろう。  大体、この時間帯に見てるのかな……これで、売り上げに繋がるんだろうか、という疑問を家に残して、外に出る。  うわ、大雨。  30Lのポリ袋の底に、少しだけハサミを入れて穴を開けた。穴に取っ手を通して、上から袋をかぶせる。簡易だが、駅までの10分弱くらい持つだろう。  この雨を直に受けるのは勘弁だ。中には着替えも入っている。万が一、水がしみたら悲惨なことになる。  駅に着く。電車に乗る。意外と人がいた。みんな、どこに行くのだろう。  私のように、大きな荷物を持っている人はいない。となると、何かの帰りか、早い出勤かもしれない。  座った向かいに、おしゃれな格好をした若い男性が、電池が切れたようにぐったりと寝落ちている。あれは、徹夜で遊んだ帰りだ。なぜかわからないが、変な確信があった。  ガタガタ揺られ、乗客は降りては乗って、入れ替わる。  ふと、電車が止まった。おや、駅はもう少し先ではないか? 「お客様にご案内します。ただいま、この先の踏切に傘が落ちているのが発見されました。現在、撤去および安全の確認を行っております……」  か、傘ですか。  始発だからね、この電車。台風の前の嵐で、ビニール傘でも飛ばされてきたか。  そういえば昔横浜線で、風に飛ばされた布団が、架線に引っかかって運転見合わせ、ということがあった気がする。  文字通り、布団が吹っ飛んだだと、友人たちと話した記憶があるから間違いない、そうだ。  しかし、線路まで布団が飛んでいくって、どれだけ強い風だったのだろうか。羽毛布団なら、案外簡単に飛んでしまうんだろうか。  危険な風速じゃ、車も家も飛ぶし、ねえ。  やれやれ、困ったもんだ。  本当、日本の季節たちには何とかしていただきたいものである。
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