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〇1日目
早朝の土曜のTVは、どの局も通販ばかりやっている。もう、何度同じ商品を見ただろう。
大体、この時間帯に見てるのかな……これで、売り上げに繋がるんだろうか、という疑問を家に残して、外に出る。
うわ、大雨。
30Lのポリ袋の底に、少しだけハサミを入れて穴を開けた。穴に取っ手を通して、上から袋をかぶせる。簡易だが、駅までの10分弱くらい持つだろう。
この雨を直に受けるのは勘弁だ。中には着替えも入っている。万が一、水がしみたら悲惨なことになる。
駅に着く。電車に乗る。意外と人がいた。みんな、どこに行くのだろう。
私のように、大きな荷物を持っている人はいない。となると、何かの帰りか、早い出勤かもしれない。
座った向かいに、おしゃれな格好をした若い男性が、電池が切れたようにぐったりと寝落ちている。あれは、徹夜で遊んだ帰りだ。なぜかわからないが、変な確信があった。
ガタガタ揺られ、乗客は降りては乗って、入れ替わる。
ふと、電車が止まった。おや、駅はもう少し先ではないか?
「お客様にご案内します。ただいま、この先の踏切に傘が落ちているのが発見されました。現在、撤去および安全の確認を行っております……」
か、傘ですか。
始発だからね、この電車。台風の前の嵐で、ビニール傘でも飛ばされてきたか。
そういえば昔横浜線で、風に飛ばされた布団が、架線に引っかかって運転見合わせ、ということがあった気がする。
文字通り、布団が吹っ飛んだだと、友人たちと話した記憶があるから間違いない、そうだ。
しかし、線路まで布団が飛んでいくって、どれだけ強い風だったのだろうか。羽毛布団なら、案外簡単に飛んでしまうんだろうか。
危険な風速じゃ、車も家も飛ぶし、ねえ。
やれやれ、困ったもんだ。
本当、日本の季節たちには何とかしていただきたいものである。
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