また箱根に行くwith台風8号~→´22.08.13

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 多少の遅れは出たものの、ほぼ定刻通りに駅に着いた。こちらは、雨は降っていない。重い曇天の空。そして、少し寒かった。しまった、長袖も持ってくるべきだったか。  A奈に連絡を入れて、とりあえずトイレに行っておく。  この先、渋滞に捕まったら、何時間もトイレに行けない可能性が出てくるのだ。せめて、ゲージを0にしておく必要がある。  万全の態勢で、改札外に出た。  A奈とは、駅前のロータリーで待ち合わせている。車はまだ来ていない。  少し待って、1台の軽自動車が滑り込んできた。前に1度、彼女の車に乗せてもらったからわかる、A奈だ。 「おはよう!」 「おはよう!」 「台風来てるね!」 「あははは」 「あははは」  自分で言うのもアレだが、なんとも陽気な2人である。  音楽を繋ぎ、車を出発させた。下道をのんびり走り、高尾ICに向かう。交通量は、思ったほど多くない。 「コーヒー飲む?」  わくわくするあまり買ってきたカフェオレを出す。いいじゃないか、旅行っぽさが出てきたぞ。  圏央道に合流する。車はあまりいない。やはり、早めに行く作戦が功を奏したか。あるいは、台風の影響か。 「いいね、空いているね」 「いいね、いいね」  海老名JCTを通過して、小田原厚木道路に入った。車の数がさらに減る。  並走する東名を見れば、そこそこ車がいた。みんな、あっちに行くんだなあ。  開けた道路。前方の山々がよく見える。 「ねえ、前暗いよ」 「絶対雨雲だよね」  山の上に、ぽっくりと黒い雲が浮かんでいる。空全体も、夜のように暗い。 「山だから、余計天気悪いだろうね」 「私たち、台風に向かってるんだよねえ」  ふいに、フロントガラスにポツっと雨粒が落ちた。 「ん? 雨?」  2人のセリフに答えるように、突然どしゃ降りがガラスをたたいた。 「うわうわうわ」 「見えない見えない」  ワイパー全開。それでも水しぶきが弾けるせいで、視界が白い。  横から外を見上げると、先ほどの雨雲が真上にいた。 「すごいね、あははは」 「やばいって、あははは」  やっぱり大爆笑の我々であった。
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