また箱根に行くwith台風8号~→´22.08.13

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 お腹も満たされ、程よく酔って、ふわふわしながら部屋に戻る。  コロナ対策のため、布団は自分で敷くシステム。これがシーツだの、布団カバーだの言いながら、2人で敷いた。 「ふわ、眠い!」  言うなり、A奈が倒れこんだ。  朝早く起きて、悪天候の中ずっと運転してくれたのだ。本人も気付かない間に疲れているに違いない。  A奈は布団でゴロゴロ、私は布団にペタンと座り、何となくテレビを見ていた。 「ごめん、少し寝ていい?」 「どうぞどうぞ」  先ほどビールを飲んだものの、少し物足りない気分の熊野。 「私、酒飲んでていい?」 「どうぞどうぞ」 「つまみも開けていい?」 「どうぞどうぞ」  冷蔵庫を開けて、自分の缶を出す。プリッツを開けて、パリポリ食べる。  テレビでは、『昔の子供たちにはあったけど、今はもうすっかり見なくなった光景』というテーマのバラエティ番組をやっている。  ふむ。 『昔の小学生たちはブルマーを履いていた』  いや、これは私の世代にはなかった。どちらかというと母の世代だ。 『小学生たちは、登下校中も名札をつけていた』  うーん……私の時はどうだっただろうか。  名札があったことは覚えている。確か入学式の時に配られたのだ。クラスカラーの赤に、ひらがなで『くまのなな』と書かれた名札の残像が、脳内にぼんやり残っている。  ただ小学1年時の、給食中の写真を見たときは、付けていなかった。    何でそんな写真が残っているのかはわからない。ちなみに写真の中の熊野(小1)は、おちょぼ口で枝豆を食べていた。  ということは、配られたものの、付けてはいなかったのか。じゃあ、何で配ったのだ。  そうだ、A奈も同じ市の出身だ。何か覚えてるだろうか、と思って覗き込んだら――。  スヤスヤと寝ていた。
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