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1時間ほどで、A奈は起きた。完全に寝落ちたというわけではなく、仮眠程度のものだったらしい。
ボサボサ頭にぼんやり顔で、晩酌に加わる。
「ねえ、小学校の頃、名札って付けてたっけ?」
私はさっそく前ページの疑問を相談してみた。
「いやあ……覚えてない」
そもそも、寝起きに聞く質問じゃなかったか。
コップを傾けつつ、雑談をのんびり交わす。
コンビニで買ってきた地ビールが美味しい。私とA奈で違う種類の瓶ビールを買ったので、半分ずつ分けて飲み比べてみる。
「私はこっち好きだなあ」
「味、全然違うね」
A奈は最近、サントリーが出している、ワインのソーダ割の缶がお気に入りなのだという。
「これ飲みやすくて美味しいのよ」
「あら、ほんとだ」
その後、熊野はその缶を見るたびに買うようになったとか、ならないとか。
「プリッツはやっぱりサラダ味がいいよね」とA奈。
「確かにサラダ味美味しいよね」
この日持ってきたのは、ロースト味。何でも、A奈のお母さんが買ってきてくれたらしい。A奈本人は、サラダ味派ということだった。
「明日、朝風呂入るよね」
「入る、入る」
「何時くらいがいいかな」
「朝ごはんが8時だから、7時とか?」
「じゃあ、6時半くらいに起きればいいか」
先ほど仮眠を取ったA奈だが、やはり目がぼんやりしている。彼女ほどではないが、私もそこそこ眠い。やはり、4時起きは早すぎる。
友人同士で集まると、どうしても夜更かししてしまうし、したくなるものだが、眠ければ欲に任せて、早く寝るのもありだろう。
何せ、本番は明日なのだ。今日は、明日を楽しむために前乗りした、くらいのつもりでいい。
夜更かししているその時は楽しいが、たいてい翌日には後悔するのだ。
わかっている、いつもやっているから。
「寝るか!」
「寝よっか!」
そうして、私には珍しく、日付の変わる前に布団に入ったのである。
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