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「これこれ、本当はこれを食べてほしかったのよ」
「じゃあ、買っていこうかな」
A奈、焼きモンブランを3つお買い上げ。自分と、両親の分。
「よし、私も買おう」
熊野も焼きモンブランを2つお買い上げ。自分の分。
「それとね、このどら焼きも美味しいの」
そう言って、どら焼きを追加。自分の分。
「あと、有名なのはバームクーヘンね」
「菜名がくれたやつよね」
「そうそう」
「あれ、美味しかった」
「そりゃ、よかった」
「これは、姉ちゃんたちにあげよう」
A奈、お姉さん一家へのお土産にバームクーヘンのハーフを買った。
「せっかく来たから、私も買おう」
熊野も、カゴに同じハーフバームクーヘンを入れる。当然、自分で食べる。
めいめい、欲しいものをカゴに入れたところでお会計。
焼きモンブランが2、3個にバームクーヘン。2人とも、大体似たような買い物をした。
しかし、ふと思う。
A奈は、これらを自分と家族とで食べるのだ。
一方の私は、これを1人で食べようとしている。
おや?
何かがおかしい気もしたが、違和感はその辺に投げ捨てておいた。そう言えば、パンもあるのだと思い直したが、それがどうしたで片付けておくことにする。
それよりも。
「買えてよかったね!」
「あと少し遅かったら、売り切れてたかも」
そうだ、まずは手に入れることが大事なのだ。
体重とかカロリーを考えるのは、その後でよい。何なら、ずっと考えなくてもよい。
「じゃあ……帰ろうか」
「帰るか」
「ここからが長いもんね」
「そうね」
いや、その前に。
「ちょっと、トイレ行っておこう」
「あ、私も行っておこう」
「トイレ大事だからね」
「大事、大事」
店に併設されているトイレに、A奈と私とで交互に入る。
よし、これで思い残すことはない。
車は旧東海道を左に曲がる。
帰路につく他の車たちに混じって、東京に帰る。
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