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「菜名ちゃんもやってみる?」
ぜひに。せっかくなら、私もやってみよう。
熊野菜名〇〇歳、人生初のコイのエサやりである。
手始めに、ポイとコイの上にエサを投げてみる。バチバチとコイが跳ねて、フゴフゴとエサを吸い込んでいく。
なるほど、楽しさがわかった気がする。ここまでわかりやすく反応してくれると、こちらとしても投げがいがあるってものだ。
試しに、今度は池の奥に投げてみた。
おうおう、面白いくらいにそっちへ泳いでいく。
しかし、半分くらいは手前でフゴフゴ言っている。おそらく、この子たちはアホなのだろう。もしくは、冒険しないタイプのどちらかだ。
次はK子さんと一緒になって、コイの口に直接ポイチャレンジをしてみる。
これがなかなか難しい。まず、コイの口が真上を向いているとは限らないからだ。さらに彼らはパクパクするわ、ビチビチ泳ぐわで目標が定まらない。
K子さんは、結構惜しいところまでいっている。しかしLv2にようやく上がったばかりの私は、コイの口に指を近づけるのにさえ、躊躇してしまっていた。
だって、食われそうなんだもん指……。
エイと投げる。コツン。コイの頭に当たった。
あら、失礼。
エサはほかのコイが持っていく。頭にぶつけられたコイは、気付いているのかいないのか、パクパクしているだけ。
なんか、ごめんね。
ここまで食欲に従順なコイたちを見ていると、面白いし少し可愛く見えてくる。
変な顔だけど。
おかげさまで、エサは無事にSold Outとなった。
コイたちも、少しは満たされたのか最初ほどの勢いはない。
ただし、何匹かはまだエサくれとパクパクしていた。
「もうないよ」
「バイバイ」
コイに別れを告げ、我々は隣接している小田原城に向かった。
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