食べるだけの旅、それは終わりのない挑戦

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 いちごのスイーツたちも気になるが、まずは食事たちだ。  メインは洋食である。  ピザにグラタンに、パスタにカレーにオムライス。からあげにサラダコーナーもある。  全く、ビュッフェというのは、どうしていつもこうなのだ。1度で取り切れないではないか。この時だけ、腕を臨時に4本体制にできないだろうかと真剣に思う。 「よし、食べよう!」 「いただきます!」 ↓1巡目の食事。パスタの盛り方が汚くて申し訳ない。e6951039-a56f-4b57-9d69-45a6cbd55b07  うん、どれも美味しい。お腹が空いているから、どんどん食べられる。  だがしかし――。 「カレーのご飯、入れすぎた。バランスが悪い」  盛った時から怪しいと思っていたが、やはりクロであった。  今回のカレーに限らず、いわゆるお椀タイプの、深いお皿にありがちである。  盛っている時、我々は器をほぼ上から見下ろしている状態だ。深いお皿は、その分表面積が狭い。実際はそこそこの量をすでに入れているのに、そのことに気付かないのだ。  結果、もう少し入れておくかと、ご飯を追加してしまうのだ。  そして、いざ席に戻って食べると『あれ、こんなに入れたっけ?』と戸惑うのである。  私はこれを『お椀の罠』と呼んでいる。  今回は、その後にカレーを入れたので、その時点で罠にハマったことに気付いていた。明らかにルーが入らない。福神漬けなど、ギリギリで生きている。  だからと言って、ご飯を戻すわけにもいかない。入れた時点で、私たちは責任をもって生きていかなければならないのだ。それでも食べるのだという確固たる意志を持って、席に戻るのだ。  今まで何回、そうしてきたことか。
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