食べるだけの旅、それは終わりのない挑戦

14/32
前へ
/281ページ
次へ
 帰り道、N子の実家に寄って、ご両親に挨拶した。  お家に泊まったこともあるし、N子がまだ免許を取っていなかった頃は、お母さんの運転で観光地に連れて行ってもらったこともある。  おそらくN子の友達で、県外の人なら、私がダントツでお世話になっていると思う。  まあ、県外から何度も来る私の方が、どうかしているのだろう。  気持ちは、ちょっと友達の家に、地元に行くくらいのものなのだ。  実際は、100km以上離れているけど。  ちょうど、レーズンパンを焼いたところだからと、お母さんが持たせてくれた。  大学時代からお世話になっている私は、よく知っている。お母さんの作るパンがとんでもなく美味しいことを。 「これ、明日の朝ごはんにしようか」 「そうしよう」  1日目の昼と夜、2日目の昼とおやつが重いから、朝はいっそなくてもいいかと話していたのに。  やはり、食を愛する者には食が集まってくるのだ。  幸せだなあ。こんにゃろめの、にゃーごにゃご。  N子の家にやってきた。  少しだけ時間を置く。  お腹が空いているかと言われると、首は縦に動かない。  いや、待ってくれ。食べないとは言っていない。お腹は空いていないだけだ。それと、餃子を食べるかどうかは別問題だ。  そうとも、そんなことを言っていたら、日付が変わってしまう。いつまで経っても食べられない。 「よし、そろそろ焼くか」 「焼くべ」
/281ページ

最初のコメントを投稿しよう!

21人が本棚に入れています
本棚に追加