食べるだけの旅、それは終わりのない挑戦

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 シュークリームをゲットしたN子が戻って来る。歌声も、徐々に戻って来る。やはりそうであったか。 「ただいま」 「おかえり」  シュークリームの箱を私のひざに預けて、早々に車を動かす。  モルトボーノからN子の家までは、そう遠くない。  車に乗せてもらって、何度も通った道。見ているうちに、私も徐々に覚えてきた道。  スルスルと走り抜けた車は、あっという間にN子のマンションに到着した。 「座って待ってて。今切り分けるから」  大きなシュークリームを、パン包丁で半分に割る。それを2人で分けるのだ。 ↓4つ、どどーんと。26e38d28-4c38-4743-b899-a672d67279e3  本日のお味は、カスタード、モカ、キャラメル、黒蜜きなこの4種類。  うん、なかなかのラインナップ。  食いしん坊の腕がなるってもんだ。 「いただきまーす」  ひと口食べて、目を丸くした。  なるほど、これは食べたことのない美味しさ。  まず、クリームが圧倒的に美味しい。量はあふれんばかりにたっぷり。甘さは程よく、それよりも味がうんと強い。  モカならコーヒーの、キャラメルならキャラメルの、それぞれの風味が1番に来るのだ。  スタンダード商品のカスタードも、また同じ。  カスタードそのものが、非常に美味しい。  そして、生地も美味しい。固めの薄いパイ生地と言ったら、少しは近いだろうか。サクサクしていて香ばしいのだ。  クリームがしっかりしているから、生地がこれくらい主張していても、バランスがちょうどいい。  むしろ、これで生地に存在感がなかったら、クリームの甘さで少し胃がもたれるかもしれない。 ↓N子が切り分けてくれた。それでも、実質2個分食べているのだ。結構なボリューム。 (ローストビーフ丼と、N子に支払った千円札が何故か写っている)4fcb49be-4618-4061-b89d-010bf55d208f
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