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さて、祖母には、双子の妹がいる。
この大叔母が、最近ガンで入院した。
今は治って退院し、家で元気に暮らしているが、治療中はぐっとやつれて元気もなくなっていたそう。
祖母が見舞いに行っても、こんな姿を見られたくないと面会を拒否されたと言う。
「この年になるとさ、何がきっかけで一気に衰えちゃうかわかんないよね」
「ただの骨折でも、そこから……なんて話もあるじゃん」
母と私の見解である。
私の両親も祖父母も、みな比較的若いうちに子供を授かっている。
だから、親もじいさんばあさんも、私にとっては元気なのが当たり前だった。
しかし、それがいつまでも続くわけはない。
正月の集まりで、ずっと台所に立って世話を焼いていた父方の祖母は、認知症が始まって、動くのもおっくうになってきた。
幸いに生きてはいてくれているが、できることは確実に減っていくし、若い頃より万が一のリスクは絶対に大きくなっている。
それは、まだ元気な母方の祖母も同じだ。
今は動けるし働けるし、大好きなビールもよく飲んでいる。
だったら、今のうちではないか。
「温泉でも、連れて行こうか」
「ああ、いいかもね」
と母も賛成してくれた。
親孝行とか、義理とか感謝とか、形式ばったものは、母も私も好きではないのだけど。
別に、祖母の接待をしようと言うのではないのだ。
3人一緒に、それぞれが楽しく旅行できたら、きっとそれでいい。
多分、本人もその方が嬉しいはずだ。
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