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そうと決まったら、諸々計画を練らねばならない。
まずは行き先だ。
温泉というには、温泉地がよいだろう。
箱根？ 草津？ 熱海？
箱根だったら、車を借りて私が運転していける。
電車の旅もいいが、可能なら車の方がいいだろう。
「うん、私も車がいい」
と母が言った。
いや、あんたが楽したいんかい。
祖母が高齢者だということばかり気にしていたが、よく考えたら母も立派な中年(？)なのだった。
これは、相当ゆるゆるな旅にしなければならない。
うっかり、いつものノリで突っ走らないように、気を付けなければ。
細心の注意を払って、ゆるゆるに仕上げるのだ。
行き先は箱根に決めた。
1つは、車で行きやすい場所であること。
もう1つは、他の有名な温泉地に、まだ私が訪れたことがないからだ。
初めての地に、いきなり母と祖母を連れて行くのは、ハードルが高すぎる。
連れて行く私自身がよくわからないのだ。これはお互い落ち着かないだろう。
その点、箱根なら何度も行っているし、何度も運転している。
うん、箱根にしよう。
「3人で箱根、行かない？」
正月に会った際、祖母に提案してみた。
「いいねえ、行きたいね」
途端に、目がキラキラした。まあ、なんとわかりやすい。
「じゃあ私、色々計画するね。時期はね……GWの後にしようかなと思ってる」
「わかった、近くなったら電話して」
やっぱり、メールでもLINEでもなく、電話なのであった。
「あー、楽しみ」
祖母がパチンと両手を合わせた。
「これで、仕事頑張れる」
「金、稼がなくちゃね」
「ね」
計画を切り出して、よかったと思った。
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