鶏の、ゆりかごから墓場まで

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コッ、コッ、コッ、コッ、コッ、コッ、 鬼山コーチ!どこにいるのですか?あたしですよ、ひろみです、鬼山コーチが教えてくれた泣きたい時は芝生の上で、走りながら泣け、と言われたあのお言葉、今の私には、納得出来ません。コーチ答えて下さい、鬼山コーチ! ひろみ、いくら言っても無駄よ、あたし達は一生懸命に玉子を生んで来たけど、待っていたのはゆったり暮らす生活ではなさそうよ、 ひろみと同じゲージの中にいる純子が、鬼山コーチに対する疑いの言葉をひろみに、投げ掛けた。 奥の食肉処理室には、回転式ベルトコンベヤーが迷路のように、張り巡らされていた。 さらに一定間隔で、知恵の輪のような、金具が取り付けられていて、廃棄鳥を逆さまにして、足を金具に差し込むと、簡単には外れない仕組みが、作られていた。そう、日本人が得意とする、産業用ロボットの集大成が待ち構えていたのだ。
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