鶏の、ゆりかごから墓場まで

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屠殺場は、食肉解体施設の事を、影ではブラック産業とも呼ばれている。汚い、恐い、臭い、生き物を平気で、殺す奴らとか、世間から差別扱いを受けて来た。 屠殺場は特殊な業界で、親から子供に、子供から孫の世代へと長く続けられている仕事だ。 彼らの祖先は、ろうれつなる階級制度の犠牲者でもあり殉教者でもある。 獣の皮を、剥ぎ取り、首の皮を切り裂く代価として、生々しい人間の、皮を剥ぎ取られ、獣の心臓を裂く代価として、暖かい人間の心を引き裂かれた。そこへ、くだらない、小笑の唾まで、吐きかけられたのだ。 彼らに言わせれば、誰のお陰で、その鳥肉を食べれるんだよ、と言うのではないか?
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