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第1話 神様につかえる天界の執事様に一目惚れされまして
――死。
それ、は何だろう。
全てを終えること?
それとも始まり?
今日、私が幼い頃からずっと飼っていた雌の愛犬リリーが老衰で死んだ。
私は良い飼い主だったろうか?
ちゃんと構ってあげられただろうか?
「――っ!」
ぽろりと、涙が零れる。
泣いちゃいけないと思いつつも堪えることが出来なかった。
顔が、俯く。長い黒髪が、だらりと前にかかった。
ぽろぽろ、ぽろぽろ、と。
涙が地面に落ちてゆく。
「リリー。私もそっちへ行きたい……!」
ペット霊園の墓石の前で。
私はわんわんと泣いた。
十六歳の夏休み。
今年も当たり前のようにリリーと遊べるものだと思っていた。
零れ落ちる涙が止まらない。
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