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「熱いうちに、どうぞ。美味しいですよ」
「あ、ありがとう」
そっと紅茶を手渡される。
私はそのお茶を静かにすすった。
「……! 美味しい!」
「でしょう?」
イズーは笑う。屈託のない笑顔で。
「ねえ、イズー。あなたは何歳なの? 私は十六歳の高校一年生だよ」
「僕ですか? 僕は十八歳です。職業は、さっきも言った通り執事をやっています」
「神様の?」
「はい、そうです」
手が、震えた。
お、落ち着け。落ち着け、私。
「ああ、そうだ。ヒヨリさんには僕の姿が見えるようですが――このことは内密にお願いします」
「うん、わかってる」
こんなことを言ったら頭がおかしいと言われるに決まってるじゃない。
言えない。言えない。誰にも、絶対。
貰った紅茶を飲みながら、ひと息つく。本当に美味しい紅茶だった。
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