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「──れ、れおっ……も、もう壊れ、こわ……!」 「久斗」 「あっ、あぁっ……も、も、無理……!」 「おれと、番になっちゃおうか、久斗」 「うっ、うう、ああっ! で、でも……」  バックにされて、両腕が筋切れるほど背中に引っ張られて、顔をベッドに押し付けられる。ナカが壊れるほど礼央のモノがオレの中に食い込んでいるのに、それを離すまいとオレの生殖本能が脳を支配した。耳元でパン、パン、と肌と水の音がする。  淫らで、甘くて、気持ちよくて、気持ちが悪い。 「あ゛っ、ああ……!」 「久斗、これからどうすんの? みんなに変な目で見られて、受験もできなくて、引きこもって。あんなえらい審査委員長に気まずい思いさせたんだから、絵の方面だってきついだろ。おまえを面倒見れんの、おれだけじゃん?」  背中をぴったりつけられて、うなじに吐息がかかる。 「ね、噛むよ?」 「か、っ……」  噛んで。オレを番にして。礼央。  オレを愛してるって言って。  快感をくれ。すべてを忘れさせて。  ──だめだ! 「はあっ……はぁ……ま、ま、って」  オレはとっさにうなじを手で押さえた。理性をフル回転させて、本能を押さえつける。塞がらない口から唾液が漏れて、もう、筋肉までぐちゃくぐちゃにされた口を、一生懸命動かす。 「オレ、あのとき、薬絶対飲んだ……ちゃんと、処方されたやつだった──ああっ」  礼央が言葉を遮るように、腰を振る。 「ま、や、やめ」 「過去の面白くない話は、もうやめれば?」 「も、もうずっと、この三ヶ月考えてた。だ、だから……あああっ、薬を、飲んだ薬自体を別のものにすりかえられるとしたら、れ、礼央しかいない、うう、う」  彼氏としてオレの家に出入りしていたのは、礼央だけだ。だからすり替えるチャンスは彼にしかない。礼央が控え室にまできてくれたのは、オレがちゃんとすり替えた抑制剤を飲んでいたかを、監視したかったからではないか。  腰の動きが止まった。ずるっとモノがオレの中から抜けて、もう体を支えきれないオレは、うなじを手で押さえる以外の挙動をやめて、ベッドの上で伸びた。 「はぁっ……お、お願い、正直に言って。礼央、オレのヒート抑制剤を……別の薬とすり替えたの……?」  見上げた先にあった礼央の顔を、オレは一生忘れない。  オレを(さいな)んだアルファの顔。  あいつはオレを股にして、見下ろして、三日月みたいに顔を歪ませて笑ったんだ。 「やっと気づいた?」  うなじを押さえていた両手を、手首を、強い力で掴まれた。
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