祭りの夜の約束

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 賑やかな祭りの道を歩く。  いつもは閑散とした商店街も、この日限りは人の活気に満ちている。屋台の呼び声に、学生の集団、家族連れ、男女の二人連れ、等々。みんな楽しそうだ。  そんな中を、僕はビール片手に歩いている。行く先々で屋台に寄り、おつまみを食べながらフラフラと。 「ん……」  500ml缶を口につけて傾けるが、もう中身が無いのか数滴しか出てこない。缶を握り潰し、近くのゴミ箱へ入れた。もう三度目だ。 「あぁ……」  顔が赤く、目が虚ろなのが分かる。完全に酔っ払いだ。普段なら、こんな酒飲みが歩いていたら稀有な目で見られるだろう。下手をすれば職質されるかもしれない。  だが、周りはそんなこと気にせず各々楽しんでいる。祭りの雰囲気がそうさせるのか、一人の酒飲みでさえ受け入れてくれているような、心地好い感覚がした。  一人で祭りに行って酒を飲む。端から見れば、寂しくて悲しい感情を持つ者が気を紛らせるためにやっているように映るだろう。  確かにそうなのだろうが、僕は楽しくて毎年の恒例にしている。
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