僕は2Bの鉛筆です

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 僕は2Bの鉛筆だ。  一ヶ月前、ある男の子に買われてから、筆箱が僕の家だ。あまり綺麗なところではないけれど、消しゴムや定規とも仲良くやっている。悪くはない生活だ。  だが、最近気になることがある。授業中に横を見ると、鉛筆ではない謎の物体を持っている人がいるのだ。話を聞いていると、どうやらあれはシャーペンというらしい。あいつらはちょっと気取った風で行け好かない。「かちかち」とうるさいし、ハイテクな感じを醸し出しているのがムカつく。僕はあいつらが苦手だった。  しかしある時、僕らの筆箱の中にもシャーペンが入ってきた。淡い水色の可愛らしいこれは、明らかに僕らの持ち主の趣味ではない。消しゴムに尋ねると、隣の席の女の子が遊園地に行ったお土産としてくれたものだそうだ。  シャーペンは嫌いだったが、幸いにも彼女はとても魅力的な子だった。優しくて明るくて、僕が冗談を言うと、鈴のような声で笑ってくれる笑顔の素敵な子。僕はいつの間にか彼女のことが好きになっていた。  それから、僕と彼女は毎日言葉を交わして、沢山笑い合った。  しかしある日、彼女は元気がなくなった。 「どうしたの」と尋ねると、彼女は「もう芯がなくなりそうなの」と答えた。「それなら、持ち主に削って貰えば良いじゃないか」と僕が言うと、彼女は悲しそうに「私たちは削る事が出来ないの」と答えた。僕は彼女の言ってる意味がわからなかった。  次の日、筆箱の中に新しい仲間が増えた。持ち主は彼のことをシャー芯と呼んでいた。  そして、授業が始まると持ち主はシャーペンとシャー芯を取り出した。彼女は悲しそうに「ばいばい」と言った。  授業が終わり、シャーペンが戻ってきた。僕がいつものように「お疲れ様」と話しかけると、シャーペンは僕を睨みつけ、鼻で笑った。  その日以降も、シャーペンの性格は幾度となく変わったが、あの時の彼女が現れることはニ度となかった。  僕は僕のままであって、君も姿は君のままなのに、あの頃のような楽しさはない。  僕はずっとここにいるのに、君にはもう一生会えない。
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