第零章・ーさて、可哀想な僕の話をしようかー

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 ぼちゃんーー!  と、何かが落ちる音がした。辺りは真っ暗で、静かで。どこに誰がいても、分からない状況だ。  何かが水に落ちる音。  若しくは、落とされる音。  ずっと長い間、僕はこの音を聴き続けている。  最初でこそ、その場から身動きが一切取れない僕の暇潰しにはなっていた。  だけど、決まった時間。決まった場所で、定期的に響く音にはもう飽きた。  だから今度、落ちる音がする前に、()()に話しかけてみようと思う。  そういう。不便な暮らしを強いられている可哀想な僕の話をしようか。  これから話す事は、全て現実に起こったんだ。  だけど、信じるか信じないかは、あなた次第だけれど、ね……。  怖くはない。ただの、どこにでもあるような、取り留めもない話さ。  さて、そろそろ始めようか?
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