序章

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科学というものから話はじめねばなりません。この恐ろしきマジック・ワードは、こんなにも科学が進歩してもいまだに誤解の多い言葉なのだと感じます。 科学の根本は、真実の探求にあります。しかしながら、真実を探求するのは、不断かつ永劫の考察が必要なのです。 仮説をたて、条件を整え、実験・観察し、考察をくわえ、仮説を立証する。これが科学的だということは可能でしょう。しかし、これだけでは、科学ではないのです。 本当に科学であるためには、このあと、その研究をした人ではない人が、疑わなくてはなりません。 なぜなら、その仮説が立証されたのは、たまたま、その人だからできたのかもしれない。または条件を変えてみたら、違う結果がでるかもしれない。もしくは、考察のしかたに間違いがあるのかもしれない。仮説をよく見たら違う研究をしたほうが立証しやすいかもしれない。 科学とは、誰がやっても同じ結果になる「普遍性」をもっておらねばなりません。そのため、その時だけできたというのでは、科学ではないのです。 科学的な研究がすべて真実か。科学的な研究がすべて普遍性をもっているか。そんなことはない、と断言しましょう。 大事なのは、本当に真実であるかどうか疑うことなのです。科学はどんどんと進歩し、にわかに科学者もどきがたくさんでてきているでしょうが、その科学的な研究結果は、必ずしもすべてが真実ではありません。 その研究結果を、本当の意味で科学に変えていくのは、その研究をした人以外の人が、その研究を検証することにあるのです。 この「研究をした以外の人」というのは、時代を経て生まれていく人類の子孫たちをも含みます。それゆえに、永劫の時間、検証を重ね、本当に間違いがないとつき止めるまで、考察されつづけなくてはならないのです。
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