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合コン会場はおしゃれ居酒屋の個室だった。三人そろって、待ち合わせ時間の五分ほど前に行くと、相手方はすでに席に座って待っていた。
「おまたせしてごめんなさい」
真紀が幹事になって仕切ってくれる。
「いやいや、せっかくだから交互にすわりましょうよ」
最初からかよ。とは思ったけれど、幹事は任せてあるので、いうとおりにする。真紀の同級生は、菅原という。
待っている間に、くじを作ったらしい。折りたたんだ紙切れを引かされた。書いてある番号で席が決まっているらしい。
玲奈は、菅原と森という二人にはさまれた。
知らない人にはさまれるのは、緊張するなあ、などと思っていると、右隣にすわった森から、
「くっつかないように気をつけますから」
と、いわれてしまった。見透かされたようだ。
「あー、お気遣いなくー」
返事をしながら、なにげなく顔をみる。
なかなかいいかもしれない。
日頃仲間内では、不平不満を口ぎたなくいい合うのだが、ここではもちろんそんなことはいわない。楽しいですよー。やりがいありますよー。とほほ笑む。
「なに飲みます?」
菅原がドリンクメニューをさしだしてきいた。
「わたしたちはみんなビールで」
真紀が答える。
「甘くてシュワシュワしたやつじゃなくて?」
「甘いお酒は好きじゃないんで」
「あれー、じゃ、ガチの居酒屋でもよかった?」
「そっちでもだいじょうぶよ」
「そっか、女子はこういうお店のほうがよろこぶかと思った」
「いやー、よろこんでるわよ。ねっ」
同意を求められて、玲奈とまりえも
「はい、よろこんでますー。おやじ系もいけますって、話です」
と答えておいた。
「もしかして酒盗とか好き?」
菅原がつづける。
「酒盗、だいすき!」
三人が声をそろえた。
「まじかー! じゃ、つぎは酒盗のあるお店にしよう!」
「やたーーー!」
「酒豪があらわれた」
「もしかしてザルなのか!」
なんだか、注文する前から楽しくなってきた。
最初のビールがカラになるころ、
「つぎ、なに飲みますか」
と、森が聞いてきた。玲奈はドリンクメニューをみる。
「焼酎もありますね。じゃあ、イモをロ……水割りで……」
森はクスリと笑いながら、
「ロックでもいいですよ」
といった。
「いや、水割りにしておきます」
玲奈はちょっと赤面する。
「合コンで焼酎たのんだ時点で、女子力なくなってますよ。いや、気取ってなくていいですけど」
「はあ、量は控えます」
「今日は楽しく飲めそうですね」
「なんかキャピキャピの女子じゃなくってすいません」
「いえ、とんでもない。ああいうタイプって疲れるんですよ。今日はほんとに楽しいですよ」
「ならよかったです」
うそでも、露骨にがっかりされなくてよかった。
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